音ちゃんにお任せ
今まで全く意識というものをしていませんでしたが、二人ともそう言えば男の子でした。
改めてそれを思い知ると、なんだか落ち着かなくなってしまいました。
それもこれも、男の子と一緒にいる事って今まで数えるほどもないから。
こういう時、どういう態度をとるべきなんでしょう。
変に意識してしまうのは、私の経験のなさゆえなんでしょうか。
「音ちゃんってさ、ちゃんと綺麗にしたら可愛いと思うよ」
「・・・えっ」
「コンタクトにしたら?」
「・・・あ、え、と・・・」
真っ直ぐに見つめられた瞳が、ギラリと光る。
あ、れ、結斗くんってこんなに妖艶に笑う人でしたか?
「髪もさ、巻いて見たらきっと・・・」
「ほら、行くぞ」
後ろからグイッと襟を引っ張られ、結斗くんの言葉は遮られる。
私は戸惑いながら立ち上がるとひらひらと手を振る結斗くんに頭を下げ一ノ瀬くんを追った。