音ちゃんにお任せ
確かに、一ノ瀬くんの事はずっと気になっていて。
それは、毎日遅刻してきても寝ててそれがすごく目についたからで。
目につくのは隣の席だったからで。
それに、私がこうしてやっているのは、琴心ちゃんはじめ一ノ瀬家のみんなに会いたいと思うからで。
一ノ瀬くんは、関係ないのです。
うん。
そうなんです。
それに、さっきドキドキしたのだって、私に免疫がないからで。
もう少し、慣れなければいけませんね。
「いつも送ってくれてありがとうございます」
「いや、こっちこそ、いつも遅くまで悪い」
「いえ、お安い御用なのです!」
にっこりと笑うと、一ノ瀬くんはフッと静かに笑った。
一ノ瀬くんの初めての笑顔はとても見過ごしてしまいそうなくらいささやかだったけれど。
私の心には深く刻まれたのです。