音ちゃんにお任せ
一ノ瀬くんは、あれからも今までと同様何も変わった様子もなく。
一匹狼を貫いておられます。
大野さんたちもまた、そんな一ノ瀬くんを陰から見守る日々。
何かが動きそうな予感は、まだありません。
「音ちゃん、山登りどうだったの?」
今日も、一ノ瀬家です。
一ノ瀬家に来るのは、月水金に日にちを確定しました。
そして今日は金曜日です。
「一ノ瀬くんに・・・ご迷惑をかけてしまいました」
「え?お兄ちゃん?」
冬深ちゃんはソファから体を身を乗り出して私を見た。
私は恥ずかしくなって肩を竦める。
「私が迷子になったのを、助けてくれたんです」