憂鬱な彼
第1章
第1章
とても暑い夏の日だった。
蝉の鳴き声がどこにいても響きわたってくる。
夏海は親友の明日香と一緒に理科室から帰る途中だった。
突然大きなベルの音がしたかと思うと天井に付いている火災報知器から水が噴き出してきた。
水はとても温くて水蒸気が舞い上がり、辺りが煙で見えなくなった。
「なにがあったんだ!?」
男子生徒の少し面白がっているような声が水の音の奥から聞こえてくる。
その時アナウンスがなった。
「えー、只今理科室で出火しました。生徒の皆さんは指示があるまでその場で待機してて下さい」
「理科室ってさっき私たちが使ってたじゃん!」
明日香が水の音に負けない大きな声で言った。
「しかもまだ教室に結構たくさん残ってた人いたし…」
夏海は最悪の事態を想像した。
「明日香、ちょっと行ってくる」
夏海はそう言葉を残すと煙の中を手探りで進み始めた。
だんだん水は弱まって夏海が理科室につく頃にはもう止まっていた。
理科室は想像以上にひどかった。
部屋の中は一カ所だけ真っ黒な炭になっている所があり、
とても暑い夏の日だった。
蝉の鳴き声がどこにいても響きわたってくる。
夏海は親友の明日香と一緒に理科室から帰る途中だった。
突然大きなベルの音がしたかと思うと天井に付いている火災報知器から水が噴き出してきた。
水はとても温くて水蒸気が舞い上がり、辺りが煙で見えなくなった。
「なにがあったんだ!?」
男子生徒の少し面白がっているような声が水の音の奥から聞こえてくる。
その時アナウンスがなった。
「えー、只今理科室で出火しました。生徒の皆さんは指示があるまでその場で待機してて下さい」
「理科室ってさっき私たちが使ってたじゃん!」
明日香が水の音に負けない大きな声で言った。
「しかもまだ教室に結構たくさん残ってた人いたし…」
夏海は最悪の事態を想像した。
「明日香、ちょっと行ってくる」
夏海はそう言葉を残すと煙の中を手探りで進み始めた。
だんだん水は弱まって夏海が理科室につく頃にはもう止まっていた。
理科室は想像以上にひどかった。
部屋の中は一カ所だけ真っ黒な炭になっている所があり、