【完】私が恋したプリンス*
「…俺の母さん…体弱いんだ」
沈黙を破った先輩の声はいつもより低く、胸にスーッと入ってきた。
「治療費とか、かなりかかる…父さんも頑張って働いてるけど…それだけじゃ生活が厳しいんだよね」
先輩から聞いた言葉にどんな言葉を掛けていいのか分からない。
「…」
だからつい無言になってしまう。
「…妹は高1で俺とは違って部活にも一所懸命打ち込んでる。帰ってきたらバスケの話ばかり」
先輩はきっとその光景を思い出してるんだろう。
嬉しそうに、そして…どこか切なそうに笑った。