【完】私が恋したプリンス*


少しの間私達の間に沈黙ができた。

けれど、その沈黙を作った佐藤さんが先に沈黙を破った。



「…那姫ちゃん…実はね…子ども達とは一緒に、暮らしていないの……」



ならやっぱり、佐藤さんがお母さん?!



「話、聞いてくれる?」



私は小さく頷いた。



「私には子どもが3人いるの、年子の男の子よ。子ども達を産んだ時、なんて幸せな家庭なんだろう…って心の底から思ったの。

けどね、現実はそんな上手く行かなかった。

三男を産んで少しした頃から、旦那からの暴力が激しくなっていったわ。元から多少の暴力はあったけれど我慢してきた。愛があるからこそなんだって…

それに幸い、子ども達には手を上げていなかったし、子ども達の目の前で殴られることはなかったわ。」



佐藤さんは当時の状況を思い出しながら話しているらしく、終始苦い顔を見せた。

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