【完】私が恋したプリンス*


「なっちゃん先輩なに言ってるんですか?ほら、戻りますよ?」



悔しいほど、凛くんはいつもの笑顔を私に向ける。



「……やだ、凛くんの言うことなんて聞かないもんね」



こんなことが言いたい訳じゃない。

けれど言葉が上手くまとまらない。



ポフッ──



ふと背中が暖かくなったかと思うと、凛くんが私の背中に頭をくっ付けていた。



「…なっちゃん先輩のバカ…」



「バカって言う方がバカなんだから!」



「…なっちゃん先輩…ありがとう…」



不意に言われた〝ありがとう〟は、私の胸を弾ませた。

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