【完】私が恋したプリンス*
少しでも、私…力になれてるのかな?
「…俺、家族って分かんない…」
弱々しく呟いた言葉は、凛くんの鼻を啜る音と一緒に聞こえた。
「…俺…ずっと家族に憧れてた…母さんが当たり前にご飯を作ってくれて、父さんとサッカーしたりして…そんな家族…」
「うん…」
「…本当は、淳くんや優人くんに憧れてたんだ。本当の親じゃなくても、暖かい家族…親という存在に…」
背中から伝わってくる彼の温もりは、今にも消えてしまいそう。
「…兄弟で一所懸命探していた母親なのに……俺…怖い……また、捨てられたらどうしよう…俺達の前から消えたらどうしよう…っ…」
そんな彼の方を振り返り、優しく、強く、抱きしめた。