【完】私が恋したプリンス*
廊下を歩けば女子の黄色い声が飛び交う。
けれど話しかけ難いのか、みんなは眺めるだけ。
私の学年にいる黒髪短髪でメガネの王子様。
私はそんな彼、古賀優人(こが ゆうと)と幼なじみだ。
学校では近寄り難いとか、クールだとか言われているけれど…
私はまったく同感できない。
だって、ただ単に人見知りをしているだけだから。
「前田!俺、ジュース当たっちゃった!」
小さい頃からずっと一緒の私に対してはこれだ。
自動販売機は当りが出たらもう1つ選べると言うシステムで、それが当り、満面の笑みで嬉しがっているのだ。
クールな王子様、で有名な彼が。
けれど学校が終わり生徒が殆ど帰った今、別人のように明るい。
「良かったね」
そんな優人に笑顔で答える。
するととても嬉しそうに再び笑っていた。