【完】私が恋したプリンス*
睨まれたのに、残念ながら凛くんの睨む目はあんまり怖くない。
怖くないなんて言ったら、拗ねちゃいそうだから言わないけれど。
「てか、なっちゃん先輩も仕事してください。サボるの良くないから」
さっきまで掴まれていた手はいつの間にか解放されていた。
「あっ、うん」
私はそそくさと優人の元へと向かった。
「優人ごめんね」
1人きりにしていたことを謝ると、優人は顔を上げた。
「えっ、優人!?」
優人の目には、今にも溢れ出しそうな涙が溜まっていたのだ。