【完】私が恋したプリンス*
「…早くして」
優人は女の子に用件を催促していた。
傍から聞いたら酷い態度なんだろうけれど、これでも一応頑張ってるんです。彼。
「こ、これ、家庭科で作ったお菓子!食べて下さい!!!」
女の子は顔を真っ赤にさせて優人に可愛い袋に入ったお菓子を押し付けると、その場を去って行った。
教室には私と優人がポツンと置いてきぼり。
隣の優人はというと、ただ呆然とその袋を眺めていた。
この後どうするんだろう…?
食べるのかな?
優人を黙って見ていると、優人は助けを求めるように私を見た。
「食べないの??」
「食べていいの?」
…それ優人がもらったんじゃない!って思わずツッコミたくなる質問。
「いいんだよ」
私がそう言うと優人はパァっと笑顔になり嬉しそうに袋を開け始めた。