ヒーローに恋をして
 その電話があったのは、明け方過ぎの頃だった。執拗に鳴るスマホに、先に眠りから覚めたコウがベッドから手を伸ばす。
「桃子」
 掠れた声が自分を呼ぶ声に、薄く目を開けた。
「宇野さんが」
 スマホを握りしめて、コウが固い表情で言った。

「今すぐ事務所に来てって」
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