ヒーローに恋をして
コツ、と足元のヒールが音を鳴らす。映画撮影が終わってから今日までの間に、色々な場所に行った。色んな靴も履いた。だからユキが履いていたものより更に高いハイヒールでも、顔を顰めずに歩いていける。
城之内の隣で、コウが話していた。笑ってるけど、いつもより固い笑みなのがわかる。
コウも緊張してるんだ。
そう思ったら、強張っていた肩の力がふっと緩んだ。
桃子に気づいたコウが一瞬驚いたように目を見開いて、笑った。その笑みを見て、つられたように笑う。
あどけない少年のような笑顔。
昔から変わらない、こうちゃんの顔。
隣にいる城之内に頭を下げた。少し離れた所にマリコがいる。林が携帯で話しながら通り過ぎた。すれちがいざま、桃子にむかって片手を上げる。
みんないる。一人じゃない。
コウは桃子の恰好を上から下まで見下ろすと、感嘆したように言った。
「きれいだよ。お姫さまみたいだ」
舞踏会のダンスを申し込む王子のように恭しい仕種で腕を前に出す。大げさなポーズも、コウがやると板について見える。
桃子は微笑んだまま、その手を取った。二人、並んで歩きだす。舞台へと向かって。
城之内の隣で、コウが話していた。笑ってるけど、いつもより固い笑みなのがわかる。
コウも緊張してるんだ。
そう思ったら、強張っていた肩の力がふっと緩んだ。
桃子に気づいたコウが一瞬驚いたように目を見開いて、笑った。その笑みを見て、つられたように笑う。
あどけない少年のような笑顔。
昔から変わらない、こうちゃんの顔。
隣にいる城之内に頭を下げた。少し離れた所にマリコがいる。林が携帯で話しながら通り過ぎた。すれちがいざま、桃子にむかって片手を上げる。
みんないる。一人じゃない。
コウは桃子の恰好を上から下まで見下ろすと、感嘆したように言った。
「きれいだよ。お姫さまみたいだ」
舞踏会のダンスを申し込む王子のように恭しい仕種で腕を前に出す。大げさなポーズも、コウがやると板について見える。
桃子は微笑んだまま、その手を取った。二人、並んで歩きだす。舞台へと向かって。