レインボウ☆アイズ
祐子さんの予想通り、午前中、俺はずっと結婚のことを考えていた。
結婚すれば、ずっと咲葉さんと一緒にいられるんだよな…。
家に行っていいですか、なんて聞かなくていいし、咲葉さんの手料理も食べ放題だ。
うちに咲葉さんが住んでもいいけど、親がいてちょっと色々と不便だから、マンションに二人で住もう。
資産のマンションなら親も安心するし、どこか一部屋くらい空いているだろう。
親から自由に使っていいと言われているが、申し訳なくて手をつけてない口座がある。
あれだけあれば、咲葉さんとの生活費はなんとかなるはずだ。
こんな俺だから、親が結婚に反対するわけないし…。
ただ…咲葉さんは、どうなんだろう。結婚について、どう思っているんだろう。
俺はその候補になれるんだろうか。…見当がつかない。
やっぱり今日も、会いたいなあ…。
昼休みになり、携帯を見るとメールが来ていた。咲葉さんからだ。
『話があるので、昼休みになったら電話ください』
何だろう。急いで人気のない場所に行って、電話をかける。
「もしもし、咲葉さん?」
「うん。ごめんね、変なメールして。」
「大丈夫です。何かありました?」
「うん…。あのね…。」
電話の声の向こうで、パタパタと走る音がする。
「…大阪行かなくてよくなった。」
「そう…なんだ…。よかったですね…。」
じゃ、結婚もしなくてよくなっちゃうかな…。
「でも、会社を辞めることにしたから、いいのかなあ。どうなんだろう。」
「え…?」
驚きすぎて声が大きくなり、廊下に響いてしまった。
「大阪行きは冗談だって言われてさー。腹が立ったから辞表出しちゃった。」
さ、咲葉さんらしい…。
「でも、今住んでるのは社宅だから、家を出なきゃいけなくて、貯金がないから
実家に帰るしかなさそうだなと思って。結局、敦哉とは離れちゃうんだよね…。」
少し寂しそうな声で、咲葉さんは言った。
これは…神様がくれたチャンスなんじゃないだろうか。
そう思い、俺は深呼吸して言った。
「咲葉さん…俺と結婚してください。」
…意を決して言ったのに、咲葉さんの返事が聞こえない。
電話が切れたかな?と思っていると
「…えーっと…。結婚、って言った?」
咲葉さんがゆっくりと言う。
「はい。咲葉さんが良ければ、すぐに結婚したいです。
住むところはなんとかするし、咲葉さんは働かなくても大丈夫です。」
安心してほしくて俺は言ったが、
「…あー…。そうー…。うーん…。」
咲葉さんは電話の向こうで唸っているだけだ。
もしかして、これは…。
不穏な空気を感じていると
「まあ…とりあえず、結婚は置いといていい?」
咲葉さんはサッパリと言った。
「はい…。」
でも、とりあえず置いとく、っていう言葉は、結婚に似つかわしくないよなあ…。
目の前が暗くなったような気でいると、咲葉さんはまた言った。
「有休がある間に就職活動して、それで仕事が決まればこっちに残るからさ。」
それって…仕事を探して、一人暮らしを続けるって事だよね…。
もう完全に結婚する気、無いじゃん…。
「わかりました…。でも、今日も会いたいです…。」
なんだか寂しくて、仕方がなくなってきた。
大阪には行かないのに、咲葉さんの心は遠くにある気がする。
「うーん…いいよ。仕事が終わったらメールするね。」
咲葉さんは笑って言った。
「はい。」
地を這うようだった俺の気持ちが、かろうじて少し浮上した。
結婚すれば、ずっと咲葉さんと一緒にいられるんだよな…。
家に行っていいですか、なんて聞かなくていいし、咲葉さんの手料理も食べ放題だ。
うちに咲葉さんが住んでもいいけど、親がいてちょっと色々と不便だから、マンションに二人で住もう。
資産のマンションなら親も安心するし、どこか一部屋くらい空いているだろう。
親から自由に使っていいと言われているが、申し訳なくて手をつけてない口座がある。
あれだけあれば、咲葉さんとの生活費はなんとかなるはずだ。
こんな俺だから、親が結婚に反対するわけないし…。
ただ…咲葉さんは、どうなんだろう。結婚について、どう思っているんだろう。
俺はその候補になれるんだろうか。…見当がつかない。
やっぱり今日も、会いたいなあ…。
昼休みになり、携帯を見るとメールが来ていた。咲葉さんからだ。
『話があるので、昼休みになったら電話ください』
何だろう。急いで人気のない場所に行って、電話をかける。
「もしもし、咲葉さん?」
「うん。ごめんね、変なメールして。」
「大丈夫です。何かありました?」
「うん…。あのね…。」
電話の声の向こうで、パタパタと走る音がする。
「…大阪行かなくてよくなった。」
「そう…なんだ…。よかったですね…。」
じゃ、結婚もしなくてよくなっちゃうかな…。
「でも、会社を辞めることにしたから、いいのかなあ。どうなんだろう。」
「え…?」
驚きすぎて声が大きくなり、廊下に響いてしまった。
「大阪行きは冗談だって言われてさー。腹が立ったから辞表出しちゃった。」
さ、咲葉さんらしい…。
「でも、今住んでるのは社宅だから、家を出なきゃいけなくて、貯金がないから
実家に帰るしかなさそうだなと思って。結局、敦哉とは離れちゃうんだよね…。」
少し寂しそうな声で、咲葉さんは言った。
これは…神様がくれたチャンスなんじゃないだろうか。
そう思い、俺は深呼吸して言った。
「咲葉さん…俺と結婚してください。」
…意を決して言ったのに、咲葉さんの返事が聞こえない。
電話が切れたかな?と思っていると
「…えーっと…。結婚、って言った?」
咲葉さんがゆっくりと言う。
「はい。咲葉さんが良ければ、すぐに結婚したいです。
住むところはなんとかするし、咲葉さんは働かなくても大丈夫です。」
安心してほしくて俺は言ったが、
「…あー…。そうー…。うーん…。」
咲葉さんは電話の向こうで唸っているだけだ。
もしかして、これは…。
不穏な空気を感じていると
「まあ…とりあえず、結婚は置いといていい?」
咲葉さんはサッパリと言った。
「はい…。」
でも、とりあえず置いとく、っていう言葉は、結婚に似つかわしくないよなあ…。
目の前が暗くなったような気でいると、咲葉さんはまた言った。
「有休がある間に就職活動して、それで仕事が決まればこっちに残るからさ。」
それって…仕事を探して、一人暮らしを続けるって事だよね…。
もう完全に結婚する気、無いじゃん…。
「わかりました…。でも、今日も会いたいです…。」
なんだか寂しくて、仕方がなくなってきた。
大阪には行かないのに、咲葉さんの心は遠くにある気がする。
「うーん…いいよ。仕事が終わったらメールするね。」
咲葉さんは笑って言った。
「はい。」
地を這うようだった俺の気持ちが、かろうじて少し浮上した。