レインボウ☆アイズ
送別会
その日の夜、念願どおり、俺は咲葉さんと最後まで行くことができた。
しかし、終わった後すぐに
「じゃ、明日も会社だから帰って。」
と咲葉さんは言い、俺を家から追い出した。
幸せなんだけど…なんだか微妙な気持ちだ。
しかし
「敦哉、おはようー。」
ホームにやってきた咲葉さんの笑顔が、俺の暗い気分を吹き飛ばす。
「おはよう。咲葉さん。」
自分で言ってみて、驚いてしまった。
「敬語じゃなかったね、今。」
咲葉さんも気づいて言う。
『やっぱり一線を越えると違うね』
にやっと笑って、心の声で咲葉さんは付け足した。
「うん…。」
俺は辺りを見回して、咲葉さんの耳元で言った。
「…金曜日は泊まってもいい?」
驚いた顔で咲葉さんは俺を見る。
「土曜だと思ってた…。」
『金曜日は送別会…』
そっか。そうだよね。会社を辞めるんだもんね…。色々あるよね。
「じゃ、土曜日で…。」
そうは言うものの、寂しい。
一晩中抱き合うのを、すごく楽しみにしていた。
それが一日も先に伸びてしまった…。
でも、平気な顔しないと。咲葉さんが心配してしまう。
「ごめんね…。」
案の定、咲葉さんが申し訳なさそうに謝ってきた。
「大丈夫。次の日になっただけだから…。」
「うん…。」
『なんか無理してそうだよ…』
やっぱりバレている。俺の心の声は聞こえないはずなのにな…。
それでも平気なふりを続けて、電車に乗った。
大丈夫なことをアピールするために、俺は咲葉さんに微笑みかける。
咲葉さんも微笑んで、声が聞こえた。
『今日は寝ていいかな…。眠いです…』
そうだよな。最近色々あって寝てないもんね。それに昨日も疲れただろうし。
「寝てください。」
俺がそう言うと、咲葉さんは俺の左腕を掴んで曲げ、ドアに突かせる。
そして、俺の腕を枕にして寝た。
…咲葉さんって、やっぱりすごい…。敵わないよ…。
咲葉さんは寝てしまったから、こっそり下を見て笑う。
寂しい気持ちは吹き飛んでしまった。
ああ、やっぱり幸せだ。咲葉さんがいると、俺はなんでもできる気がする。
でも…学校の事務員の仕事は嫌だと言われてしまった。
毎朝、学校まで一緒に行けるのにな。俺が待っていれば、帰りも一緒に帰れるのに…。
また寂しい気持ちになってきた。咲葉さんの寝顔を見て癒されよう。
…だめだ。キスしたくなってきた。寂しい気持ちは薄れたけど…。
ふと、今日はキスできないんだな、と思って、また寂しい気持ちになる。
はあ…俺っておかしいのかな。
つきあったら安心かと思ったけど、そうでもないんだ。…やっぱり結婚したい…。
いや、咲葉さんのことだ。結婚しても、変わらずにマイペースなんだろう。
そんなことを思っていたら、降りる駅のアナウンスが聞こえた。
「咲葉さん。…起きてください。」
俺が言うと、
「んー…。」
ゆっくり咲葉さんが目を開ける。すると、急に目が開いて
『顔、近い…』
驚いている心の声が聞こえた。
自分で人の腕を枕にしたくせに、忘れたんだ。面白くて笑ってしまう。
笑っている俺を見て咲葉さんも思い出したようで、恥ずかしそうに笑った。
『…こんなに近いと、キスしたくなっちゃうね』
「はい。」
そう言ったところで、駅に着いたので二人で降りる。
すると咲葉さんは言った。
「金曜日の送別会、さっさと帰ってこようかなー。」
え?と思って、咲葉さんの顔を見ると
『敦哉と一緒のほうがいいもん』
心の声が聞こえる。
…う、嬉しい…。送別会よりも、俺を選んでくれたんだ…。
「じゃ、金曜日に行っていいですか?」
「うん。」
咲葉さんは優しく微笑んで、答えてくれた。
…やばい。俺すごく幸せ…。死んでもいい…。
「じゃ、また明日ね。」
改札を出ると咲葉さんは、振り返らずにさっさと会社に向かう。
その潔さがいつも寂しかったが、今日は寂しくない気がした。
しかし、終わった後すぐに
「じゃ、明日も会社だから帰って。」
と咲葉さんは言い、俺を家から追い出した。
幸せなんだけど…なんだか微妙な気持ちだ。
しかし
「敦哉、おはようー。」
ホームにやってきた咲葉さんの笑顔が、俺の暗い気分を吹き飛ばす。
「おはよう。咲葉さん。」
自分で言ってみて、驚いてしまった。
「敬語じゃなかったね、今。」
咲葉さんも気づいて言う。
『やっぱり一線を越えると違うね』
にやっと笑って、心の声で咲葉さんは付け足した。
「うん…。」
俺は辺りを見回して、咲葉さんの耳元で言った。
「…金曜日は泊まってもいい?」
驚いた顔で咲葉さんは俺を見る。
「土曜だと思ってた…。」
『金曜日は送別会…』
そっか。そうだよね。会社を辞めるんだもんね…。色々あるよね。
「じゃ、土曜日で…。」
そうは言うものの、寂しい。
一晩中抱き合うのを、すごく楽しみにしていた。
それが一日も先に伸びてしまった…。
でも、平気な顔しないと。咲葉さんが心配してしまう。
「ごめんね…。」
案の定、咲葉さんが申し訳なさそうに謝ってきた。
「大丈夫。次の日になっただけだから…。」
「うん…。」
『なんか無理してそうだよ…』
やっぱりバレている。俺の心の声は聞こえないはずなのにな…。
それでも平気なふりを続けて、電車に乗った。
大丈夫なことをアピールするために、俺は咲葉さんに微笑みかける。
咲葉さんも微笑んで、声が聞こえた。
『今日は寝ていいかな…。眠いです…』
そうだよな。最近色々あって寝てないもんね。それに昨日も疲れただろうし。
「寝てください。」
俺がそう言うと、咲葉さんは俺の左腕を掴んで曲げ、ドアに突かせる。
そして、俺の腕を枕にして寝た。
…咲葉さんって、やっぱりすごい…。敵わないよ…。
咲葉さんは寝てしまったから、こっそり下を見て笑う。
寂しい気持ちは吹き飛んでしまった。
ああ、やっぱり幸せだ。咲葉さんがいると、俺はなんでもできる気がする。
でも…学校の事務員の仕事は嫌だと言われてしまった。
毎朝、学校まで一緒に行けるのにな。俺が待っていれば、帰りも一緒に帰れるのに…。
また寂しい気持ちになってきた。咲葉さんの寝顔を見て癒されよう。
…だめだ。キスしたくなってきた。寂しい気持ちは薄れたけど…。
ふと、今日はキスできないんだな、と思って、また寂しい気持ちになる。
はあ…俺っておかしいのかな。
つきあったら安心かと思ったけど、そうでもないんだ。…やっぱり結婚したい…。
いや、咲葉さんのことだ。結婚しても、変わらずにマイペースなんだろう。
そんなことを思っていたら、降りる駅のアナウンスが聞こえた。
「咲葉さん。…起きてください。」
俺が言うと、
「んー…。」
ゆっくり咲葉さんが目を開ける。すると、急に目が開いて
『顔、近い…』
驚いている心の声が聞こえた。
自分で人の腕を枕にしたくせに、忘れたんだ。面白くて笑ってしまう。
笑っている俺を見て咲葉さんも思い出したようで、恥ずかしそうに笑った。
『…こんなに近いと、キスしたくなっちゃうね』
「はい。」
そう言ったところで、駅に着いたので二人で降りる。
すると咲葉さんは言った。
「金曜日の送別会、さっさと帰ってこようかなー。」
え?と思って、咲葉さんの顔を見ると
『敦哉と一緒のほうがいいもん』
心の声が聞こえる。
…う、嬉しい…。送別会よりも、俺を選んでくれたんだ…。
「じゃ、金曜日に行っていいですか?」
「うん。」
咲葉さんは優しく微笑んで、答えてくれた。
…やばい。俺すごく幸せ…。死んでもいい…。
「じゃ、また明日ね。」
改札を出ると咲葉さんは、振り返らずにさっさと会社に向かう。
その潔さがいつも寂しかったが、今日は寂しくない気がした。