レインボウ☆アイズ
前髪
昨日、もう待たなくていいって、和成に言ってよかった。
あの人を待っていたら、昨日と同じ電車には乗れなかった。
もしかして、先に行っちゃったんだろうか。
だとしたら、どうしよう。どのタイミングで諦めればいいのか、わからない。
俺はあの人が待ち遠しすぎて、目が合うことを恐れずに、顔を上げて待ってしまっている。
目を前髪で隠していないことに、ついさっきまでそわそわしていたけど、
何だか今はどうでもいい。…あの人に会いたい。
会ってひどいことを思われても、平気な気がする。会えるだけでいい。
たった二回しか会ってないのに、何なんだろう。
俺って、こんなに惚れっぽかったんだな。
ぼーっとそんなことを考えていたら、見られているような気がして視線を向けた。
あの人が俺を見ていた。良かった。会えた…。
喜びに浸っていると、
『ふわふわくん?』
今までとは、違う雰囲気の声が聞こえた。
戸惑っているような、違和感を感じているような。
…待ち構えてたの、ばれたかな。
それとも、変な顔だって思われた?
やばい。前髪を変えたことが意外と好評だったから、
ダメだった時の事、考えてなかった。傷つく心構え、してない…。
どうしよ。帰りたい。…でも、和成が心配するだろうな…。
学校には行かないと…。とてつもない重力を感じながら立ち上がり、列にならぶ。
ホームに入ってくる電車は、暗黒の電車に見える。
どうしようか迷ったけど、見納めかもしれないから、あの人の後ろに立った。
すぐに目が合ってしまって、声が聞こえた。
『やっぱりふわふわくんだー』
さっきとは違う明るい声。胸がぎゅっとなる。またこの声が聞けて嬉しい。
俺、後ろに立ってよかった…。
噛みしめながらまた見ると、窓越しに俺は見られていた。
『予想通り男前だ。遅刻しそうだけど、いいもの見れた』
顔が赤くなっている気がして、下を向く。
いいものって…俺なんかでいいんだろうか?
やばい。死んでもいい。…死にたかった俺が、死んでもいいっておかしな話だけど。
でも生きてたら、もっといいことがあるんだろうか。
顔を上げて見てみると、あの人は寝ていた。
少し残念だけど、今日も穏やかな寝顔を見られて、幸せだ。ずっと見ていたい。
…そっか。生きてたら、いいことがあるな。今みたいに。
また俺は傷つくだろうけど、幸せだと思う時も来るだろう。
だから、生きられている間は生きればいいんだ。
って、好きな人の寝顔を見ながら、俺は何を思っているんだろう。笑いそうになって下を向く。
…和成に話してみようかな。
生きていたいって思うほど、幸せな気持ちになるってこと。
うまく話せるかなあ…。俺の心の声も、和成に聞こえればいいのに。
ふと見ると、あの人の目は半分開いていた。
ぼーっとしてるなあと見守っていると、急に目が開いてきた。
目を輝かせて外を見ているので、俺も見ると、虹が出ていた。…綺麗だな。
さぞ嬉しそうに見ているんだろうと、あの人の顔を見ると、目が合った。
『ふわふわくんも虹を見たかな』
もちろん見てますよ、と答えるかわりに、また虹を見る。
幸せだ。…でも、もう降りないといけないのか。もっと一緒にいたいな。
やっぱり俺は贅沢者で、わがままだ。
駅を降りると、本当に遅刻ギリギリらしく、あの人は小走りで改札へ向かう。
俺はその背中に、いってらっしゃい、と心の中で声をかけた。
あの人を待っていたら、昨日と同じ電車には乗れなかった。
もしかして、先に行っちゃったんだろうか。
だとしたら、どうしよう。どのタイミングで諦めればいいのか、わからない。
俺はあの人が待ち遠しすぎて、目が合うことを恐れずに、顔を上げて待ってしまっている。
目を前髪で隠していないことに、ついさっきまでそわそわしていたけど、
何だか今はどうでもいい。…あの人に会いたい。
会ってひどいことを思われても、平気な気がする。会えるだけでいい。
たった二回しか会ってないのに、何なんだろう。
俺って、こんなに惚れっぽかったんだな。
ぼーっとそんなことを考えていたら、見られているような気がして視線を向けた。
あの人が俺を見ていた。良かった。会えた…。
喜びに浸っていると、
『ふわふわくん?』
今までとは、違う雰囲気の声が聞こえた。
戸惑っているような、違和感を感じているような。
…待ち構えてたの、ばれたかな。
それとも、変な顔だって思われた?
やばい。前髪を変えたことが意外と好評だったから、
ダメだった時の事、考えてなかった。傷つく心構え、してない…。
どうしよ。帰りたい。…でも、和成が心配するだろうな…。
学校には行かないと…。とてつもない重力を感じながら立ち上がり、列にならぶ。
ホームに入ってくる電車は、暗黒の電車に見える。
どうしようか迷ったけど、見納めかもしれないから、あの人の後ろに立った。
すぐに目が合ってしまって、声が聞こえた。
『やっぱりふわふわくんだー』
さっきとは違う明るい声。胸がぎゅっとなる。またこの声が聞けて嬉しい。
俺、後ろに立ってよかった…。
噛みしめながらまた見ると、窓越しに俺は見られていた。
『予想通り男前だ。遅刻しそうだけど、いいもの見れた』
顔が赤くなっている気がして、下を向く。
いいものって…俺なんかでいいんだろうか?
やばい。死んでもいい。…死にたかった俺が、死んでもいいっておかしな話だけど。
でも生きてたら、もっといいことがあるんだろうか。
顔を上げて見てみると、あの人は寝ていた。
少し残念だけど、今日も穏やかな寝顔を見られて、幸せだ。ずっと見ていたい。
…そっか。生きてたら、いいことがあるな。今みたいに。
また俺は傷つくだろうけど、幸せだと思う時も来るだろう。
だから、生きられている間は生きればいいんだ。
って、好きな人の寝顔を見ながら、俺は何を思っているんだろう。笑いそうになって下を向く。
…和成に話してみようかな。
生きていたいって思うほど、幸せな気持ちになるってこと。
うまく話せるかなあ…。俺の心の声も、和成に聞こえればいいのに。
ふと見ると、あの人の目は半分開いていた。
ぼーっとしてるなあと見守っていると、急に目が開いてきた。
目を輝かせて外を見ているので、俺も見ると、虹が出ていた。…綺麗だな。
さぞ嬉しそうに見ているんだろうと、あの人の顔を見ると、目が合った。
『ふわふわくんも虹を見たかな』
もちろん見てますよ、と答えるかわりに、また虹を見る。
幸せだ。…でも、もう降りないといけないのか。もっと一緒にいたいな。
やっぱり俺は贅沢者で、わがままだ。
駅を降りると、本当に遅刻ギリギリらしく、あの人は小走りで改札へ向かう。
俺はその背中に、いってらっしゃい、と心の中で声をかけた。