失恋ゲーム。
嘘つきくん。
「美味しかったね。」
───ポツリ、
車の中で柔らかい声が聞こえた。
「うん、それに楽しかったよ。」
私は、足元にあるさっき買った洋服が入った袋をチラリと見た。
もう、とうのとっくに夜になり月と星が顔を見せている。
──今夜は、満月だ。
私は、窓の外にある満月を見逃さないように見つめた。
「月、好きなのか。」
ふ、と。
そんな声が聞こえて、私は声のした方を見た。
声をかけていたのは、八尋だった。
「うん、好き。
寂しそうでしょ?」
「寂しそう…?」
八尋は、不思議そうにこちらを見た。
瑠樹の寝息が聞こえる。
「星には、似たような星が沢山近くにいるのに月は近くにいないでしょ?
宇宙にあったとしても、私たちの目には見えない。
そんな姿が、儚くて…好きなの。」
私はもう一度月を見つめた。
「そうか…。
俺は、月が嫌いだ。」
表情は変わらないのに、寂しそうに見えるのはなんでなんだろう。
「どうして?」