失恋ゲーム。
だけど、それは私だけじゃないみたいで。ハッとする。
「結愛……お父さんって……理事長が結愛のお父さんなの……?」
宇美ちゃんが、目を見開いて聞いてくる。私が答えようとした時、
「あぁ、そうだよ。」
この人は口を開いた。凄く、笑顔で、優しそうな表情で確かにおっとりしていて。
あぁ、何も変わってない、この人は。視界が歪む。鼻の奥がツンと、少し痛くなった。
「お父、さん…っ、おとうさん…っ。会いたかったの、会いたかった…。」
涙が流れても視界がすっきりすることは、なかった。だけど、そんなこと気にする余裕なんてなくて。
私は、お父さんに抱きついた。
「結愛……ごめんな。辛い思い、させてしまって……。」
お父さんの声も涙ぐんでいる。私はやっと、やっと……っ。
「結愛と理事長は、親子なのになんで泣いてるの?」
ふと、そんな声が聞こえた。千夏は、不思議そうに私を見ている。
千夏が、言いたいことはなんとなく、わかった。
いつも、一緒にいるのに、会っただけでなぜ泣くのか。言葉は違えど意味は同じだった。