失恋ゲーム。

✧*

──自由に、生きたいと願った。

勿論、自由に遊んだりできたし、しっかりしたご飯も食べれた。教育熱心な人も家に居なかったし、それなりに楽しくやってこれた。

───けど。

1つだけ、皆とは少し違う。ほんの少し違う事があった。

“父親が、有名会社の社長”。

ただ、これだけ。だけど、この1つだけで俺は自由で“縛られていた”のかもしれない。

「斗真。この子が今日から貴方のお友達よ。」

小学1年生。そう、言われ来たのは何とも“お嬢様”という雰囲気の美歌だった。

「は、初めまして……。」

愛らしい笑顔で笑ってきた美歌に、俺は幼いながらも心打たれていたのかも、知れない。

「初めまして……。」

緊張しながら握手をしたのを、よく覚えている。

美歌は、とても“弱い”女の子だった。男の子が苦手で人見知りをして……。

運動も苦手だけど、お菓子作りが得意。

当時は、男の子だけでなく女の子にも好かれる性格だったと思う。


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