失恋ゲーム。
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──自由に、生きたいと願った。
勿論、自由に遊んだりできたし、しっかりしたご飯も食べれた。教育熱心な人も家に居なかったし、それなりに楽しくやってこれた。
───けど。
1つだけ、皆とは少し違う。ほんの少し違う事があった。
“父親が、有名会社の社長”。
ただ、これだけ。だけど、この1つだけで俺は自由で“縛られていた”のかもしれない。
「斗真。この子が今日から貴方のお友達よ。」
小学1年生。そう、言われ来たのは何とも“お嬢様”という雰囲気の美歌だった。
「は、初めまして……。」
愛らしい笑顔で笑ってきた美歌に、俺は幼いながらも心打たれていたのかも、知れない。
「初めまして……。」
緊張しながら握手をしたのを、よく覚えている。
美歌は、とても“弱い”女の子だった。男の子が苦手で人見知りをして……。
運動も苦手だけど、お菓子作りが得意。
当時は、男の子だけでなく女の子にも好かれる性格だったと思う。