失恋ゲーム。
凄く、幸せな時間を過ごしていた。逆に、物事がこんなあ上手く進むのかが不思議だった。
だけど、その疑問は当たった。俺の幸せの時間は脆くて壊れやすいものだった。
「斗真……。」
付き合ってすぐの頃。彼女と帰っている時に、美歌が突然現れた。ふわり、美歌のふわふわの茶色の髪が揺れた。
「美歌……どうした?学校は……。」
美歌の学校は、美歌の家から車で30分はかかる。この時間帯だったら、6校時を抜け出さなきゃならない。
「その女……誰……っ?」
俺の質問には答えず、質問を返してきた。
「あぁ、この子は俺の彼女だよ。」
美歌は、顔を少し俯かせている。その様子は何処か可笑しい。
「彼、女……?」
ポツリ、呟く。その声は、低くて“美歌”ではなかった。俺の“記憶中”の美歌ではなかった。
「なんで……?ねぇ、なんで彼女なんか作るの?私の方が可愛いじゃない。私の方が優しいじゃない。
それに、私は斗真の婚約者よ?」
そう言われて、慌てて口を開いた。彼女が勘違いをしたら、大変なことになるくらいわかっていた。
「婚約者は、20歳からのことだ。美歌もそれまでは、自由に恋愛していいって言われてないの?」
「っ、うるさい……!斗真は私のものよ!私のなの!この女のものじゃない!!」
美歌は、“美歌”じゃなかった。いつから、いつからだったんだろう。