失恋ゲーム。
「私の名前を呼ばないでっ!……虫酸が走るわ。」
声を荒げる美歌さん。私を睨んだ後に、目を一瞬閉じた。
「美歌さん、私は貴方の気持ちよく分かります。」
「はっ……!よくそんなこと言えるわね。
分かるのだったら、私に斗真を頂戴!!私から斗真を奪わな……「斗真は物じゃないの!!」
それ以上、斗真を傷つけないで。……自分を傷つけないで。見ている方が辛くなるから。
「分かってるよ、美歌さんは寂しいのよね。本当は、斗真を愛して……ないんでしょう?」
こんな時くらい、真面目にしなきゃ。───こんな時くらい、役に立つ人間にならなきゃ。
でないと、私は用済みだ。
一瞬だけ、ほんの一瞬。美歌さんの目が泳いだ。
「な、に言ってるの!私は、斗真を愛してるわ!好きなの、斗真が!」
「斗真が“好き”なのはわかる。だけど、愛してない。
この違い……貴方が一番分かってる筈。」
斗真は、美歌さんを見て唖然としている。斗真、美歌さんの本当の気持ち、聞いてあげて?
「………もう、隠さなくて大丈夫。斗真に全部話してみて、きっと、斗真は受け止めてくれる。」
「っ、……わ、私……!私は、誰かに愛されたかったの……!
だけど、お母様もお父様も……っ!私を愛してくれない……。」
少し、涙ぐんだ声になった美歌さん。
「そんな時、斗真に出逢ったの……。もう、この人しかいないと思った。斗真に依存していたんだと思う……。
“依存”と“愛”を間違っていたの。」
大きな目から、涙が出てきた。長い睫毛が濡れていた。小さな、少しだけぽてっとした唇が震えている。
「斗真……ごめんなさい。いっぱい、困らせちゃって。」
斗真の方を向いた美歌さん。斗真は、また泣きそうになっていた。
「……っ、本音を言ってくれれば良かったのに。」
「ごめんなさい。でも、やっと“好き”って気持ちが分かったの。」
「……ごめ「言わなくても、分かってるから。」