真のキズナ-honto no kizuna-
…この扉、中からじゃ開けられないようになっていた。
「じゃ、あばよっ!」
甲高い笑い声をあげ、舞華は去った。
舞華達がいなくなった頃、静かに1人の足音が聞こえて来た。
足音は掃除用具入れの前で立ち止まると、そのまま扉を開けた。
「…大丈夫?春」
心配そうに言うこの声は、委員長じゃない。
私は委員長の他に、もう1人だけ味方がいた。
その子だけは、私に『おはよう』や『バイバイ』を言ってくれるし、私の話を無視しないでちゃんと聞いてくれるし、目も合わせてくれる。
今じゃ、お互い信じ合える大親友だ。
私は、その子に笑いながら言った。
「深友……ありがとう」
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