フルート吹きの魔法使い
「こんなこと、初めてだ」
フランは椅子に寄りかかって空を見上げた。
どうやったら素直になってくれる?
どうやったら笑顔をみせてくれる?
どうやったら好きになってくれる?
考えれば考える程辛くなる。
「お前がそんな顔で苦しんでる姿を見るのは、気持ちがいいね」
ガリエルの言葉に、フランははっと我に返り、睨む。
向かいに座るガリエルの顔は、今にも声を出して笑いそうなくらい口角が上がっていた。
「面白がるな、ガリエル。私はとっても苦しんでるんだ」
「俺はいつもそんな気持ちを味わってきたんだ。よくわかったか?」
「・・・わかりたくもないね」
ふふん、とガリエルは鼻を鳴らすと、マントを羽織り持ち場へと戻っていった。
フランは立ち上がり、いつもの場所から窓の外を見る。
ルリの気持ちはどこに行くのか。
曇りゆく空を見ながら、考えていた。