フルート吹きの魔法使い
夜。
るりは明日のパーティーに備えて、早めに部屋へ戻った。
明日吹く楽譜の確認をする。
吹いてしまうと魔法が発動してしまうから、構えて指だけ動かして練習をする。
「明日、上手くいきますように」
るりはフルートを抱えて祈る。
みんなに心に残る演奏が出来ますように。
みんなが幸せな気持ちになれますように。
コンコン。
扉をノックする音が聞こえる。
「ごめん、こんな時間に。ルリいるか?」
扉の向こうの声はフランだった。なぜか、るりの心がとくんと鳴る。
扉を開けると、少し疲れたような表情を浮かべたフランが立っている。
手には大きな箱を抱えて。