フルート吹きの魔法使い
「何の為に?」
「ルリの周りの邪魔者を少しでも排除するため、でしょうね。今までルリの近くには必ず誰かいましたから。彼はこの王国の内情を良く知っています。そういう話を流せば、この中がどういう動きをするのか知っている。だからどこからか話を流したのでしょう」
「それで、ルリが一人になるのを狙っていた、と?」
「・・・そういうことですね。こうなるのなら、私が近くにいるべきだった・・・。これは魔法長としてあるまじき失態です。・・・本当に申し訳ない」
グレイは沈痛な表情でそう言うと、拳を握り締めながら机に顔を伏した。
「こうなってしまった以上、今は早急にルリがどこにいるのかを捜すのが先でしょう。フラン様、顔を上げて下さい」
フランはグレイを気遣うように話す。
しかし、表情は厳しいままだ。
「国王は騎士を総動員させて捜すよう命じたそうだ。俺もこのまま捜索に向かう。フランはここにいてくれ。なんとか手がかりを見つけられるようにするから」
「いや、私はモール様のところに行ってくる。この非常事態だ。手を貸してくれるだろう」
「・・・お願いします。私も何とか策を練ってみます」