フルート吹きの魔法使い

「・・・どういうこと?」

「私はモールに魔力を封印されたのです。その封印を解く為に魂の力を使い、ある程度の魔力を取り戻すことが出来ました。しかしこの通りこの身体は寿命を迎えてしまった。今は自分の魔力でなんとかこの身体を維持している状態なのです」

フィランドールはさらに話を続ける。

「この身体が完全に戻る事。私の魔力が完全に戻る事。そしてこの世界を滅ぼす事。そのためにはこれが必要なんですよ」

口元が怪しく上がる。そしてゆっくりとるりの方へと歩いてくる。
ざり・・・ざり・・・とするような足音が不気味にこだまする。

「返して・・・!私のフルートを返して!!」

「ルリ、私とこの世界の楽園を作りましょう。黒く、赤く、狂気に満ちた理想の楽園を・・・」

るりは後ずさりを続けたが、行き場がなく追いやられてしまう。
フィランドールはさらにるりに近付き、るりの頬を触れようと手を伸ばした。



やだ!触られたくない!!



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