フルート吹きの魔法使い

震える脚に喝をいれ、るりは光が見えるほうへと歩いていく。
壁をつたいながら、一歩一歩。

やがてその洞窟から出ると、目の前には見たことのない風景が広がっていた。
どうやら山の上にある洞窟のようだ。

見下ろすと遠くには町のようなものがぽつぽつと見える。
だが、丘で見たアルデハラの街ではないようだ。


「どこ・・・ここ・・・?」

またるりの額から汗がぽたりと流れる。
なんとか下りれる道を探そうと辺りを見るが、藪が生い茂り、道を探すことができない。



「・・・どうしよう。ここから動けないじゃない・・・」

るりは愕然とし、その場で立ち尽くした。


戻れないの・・・?
私、フラン達のところに帰れないの?

るりの瞳から涙がこぼれる。



誰か助けて。
帰りたい。ここから!

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