フルート吹きの魔法使い
後ろから抱かれたまま、その場で立つ二人。

周りにいる参加者達が、二人を見てざわついている。
それに気付き、るりは顔を赤くしながら尚も抵抗するが、余計に腕の力は強くなる。

「い・・・いつから話聞いてたの?ってか周り見てる!!ちょっと離れて!恥ずかしいから!!」

「嫌だ。この際だから皆に見せ付けて知らしめてやる。ルリは私のものだってな。・・・話は随分と前から聞いていたよ。グレイ様は気付いていたみたいだがな」

・・・なんてこった。
まさか聞かれていたとは・・・・。

るりはフランの腕の中で脱力し、深いため息を付く。

抱きしめられている所を見られるよりも、話を聞かれていたことの方が恥ずかしい。
だって、自分の気持ちがわかられてしまったって事だから。


「ああ、もう・・・。恥ずかしすぎて死ねる」

「私を残して死ぬなよ。死ぬ時は一緒だ」

「・・・なにその臭い台詞」

「これから沢山言ってやる。ルリの耳元で」

「やめてよ、慣れてないんだから」



「愛してる、ルリ。これからは私がお前を幸せにする」



耳元で、心地の良いテナーが響く。
甘く、熱を帯びた言葉は、るりの全身を駆け巡り、痺れさせ。

そして・・・。

フランの腕の中で、意識を手放した。
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