フルート吹きの魔法使い
その言葉に、フランから殺気を感じるりは咄嗟に涙を拭ってこらえた。
その殺気をガリエルも感じていたようで、怪しい笑みを浮かべながらまた憎まれ口を叩く。

「嫉妬深い男だな。苦労するぞ、ルリ。悪い事は言わないからやっぱり俺にしといたら?」

「お前・・・。ここでやるか?もう1回」

「そうだな。あの時モール様に邪魔をされたが、今度は邪魔をさせねぇ。いいぜ、受けて立とう」

「ちょっ!!やめてよ二人とも!!そんなことしたら二人とも嫌いになるから!!もう口もきかないからね!!」

近くで交わる剣の恐ろしさが蘇り、るりは声を荒げて二人を制止した。
そんなるりを見てガリエルは冗談だ、と言って声を出して笑う。
フランも最初はムッとした表情を浮かべていたが、徐々に表情が和らいでいった。


「さて、俺はこれから仕事だ。じゃあな、二人とも。ゆっくり休めよ」

「ガリエルも、無理しないでね」

「・・・おう。サンキュー」

ガリエルは後ろ手で小さく手を振ると、部屋から出て行った。


< 250 / 270 >

この作品をシェア

pagetop