フルート吹きの魔法使い
「・・・ったく、あいつは」

「ふふっ。でも、なんだかんだで仲がいいよね」

「ああ。私の唯一信頼できる男だからな」

フランはるりを後ろから抱きしめる。
さらりとした髪やフランの吐息がるりの顔に触れて、少しこそばゆい。

「そういえば、ちゃんとルリの口から聞いてない」

「・・・何を?」

「愛の言葉。好きって聞いてない」

そう言われ、るりは言ってなかった事に気付く。
思ってはいたけれど、ちゃんと口に出して話してなかった。

というか言った気になっていたよ・・・。

「言って、ここで。ルリの口からちゃんと聞きたい。私の事が好きだと」


抱きしめられた状態で、口に出して言うなんてとても恥ずかしいんだけど。

でも、言わなきゃ。
フランに、私の気持ちをちゃんと言わなきゃ。


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