フルート吹きの魔法使い
丘に着いた。

丘は2年半前と変わらない風景が広がっている。
青い空に、白い雲がゆっくりと流れている。
風は優しく吹いて、その風に草花がそよそよと揺れる。

フィランドールの一件以来、るりはこの場所が怖くなり来る事はなかった。
正直この場所に来るまで、心のどこかに恐怖が残っていた。

でも今は隣にフランがいる。

そして、ここから見る街の情景は相変わらず平和そのものだ。



それを改めて自分の目で見て、ほっと胸をなで下ろした。

今は平和であるのだ、と。


「風が、気持ちいいね」

「ああ。忙しくて疲れていた心が癒されるよ」

フランは緑の鮮やかな芝生に腰を下ろした。
るりもフランの隣に座り、フランの肩に頭を預けた。

2人で丘の上から平和な風景を、ただ静かに眺めている。

隣に愛する人がいるという事。
それがこんなにも幸せな事だとは思わなかった。



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