フルート吹きの魔法使い
「・・・ねえフラン、覚えてる?あのパーティーの夜に、私にこう聞いたよね。"ルリは幸せか?"って」

「そう言えば、聞いたな」

「今ならハッキリと言えるの。私、ここに来て幸せだって。今まではね、フルートが吹けるだけで幸せなんだって思ってた。でも、人から愛されて、愛する、それも幸せなんだって気付いたんだよ」

「フランを好きになるまで、人を好きになった事なんてなかったの。でも、フランを好きになって、こんなに気持ちが満たされるなんて知らなかったんだ。教えてくれてありがとね」

そう言うと、るりは笑顔でフランを見つめた。
その笑顔に、フランは顔を手で隠し逸らす。

「その笑顔・・・反則」

「え?」

「いや、ちょっと自我が保てなくなる」

るりは不思議そうな表情を浮かべ、顔を傾けた。
フランは咳ばらいをすると、真剣な表情でるりに顔を向けた。

「ルリ、ちょっと立ってくれる?」

「立つ?・・・いいけど」


疑問に思いながらもるりはその場で立った。
立ったのを確認すると、フランは片膝を付きるりの手を取って見上げた。


そして、少しの無言の時を経て、口を開いた。


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