フルート吹きの魔法使い
「・・・へえ、そりゃ荒れるね。今まで100発100中のお前が断られるなんてな」
「だろう?私のどこが悪いというのだ。私を初対面で断る女など今まで存在しなかったというのに。お陰で私のプライドはズタズタだ。このままでは私の気が晴れない」
ぎりり、とフランは爪を噛む。
フランは何か面白くないことがあると噛む癖がある。
その時はフランの機嫌が最高潮に悪い時だ。
仕事でのいざこざや悪人に対して、たまに冷静さを欠く時はあったが、女の事でここまで荒れる事は今までにない。
いつもは女性に対して紳士な態度を取ってきたのだ。
それが今はこんなに我を忘れて怒っている。
ガリエルはフランをここまでにさせた、「ルリ」と言う女に興味を持つ。
これは面白い事になりそうだ。
偉大なる魔女の弟子、ルリか。
会ってみたいね。
ガリエルはにやりと怪しい笑みを浮かべた。