フルート吹きの魔法使い
フランは胸のあたりをぎゅっと掴む。
やがて怒りの感情は、別なものに変化していく。
・・・手に入れたい。
・・・私のものにしたい。
・・・私のそばであの音を聴かせて欲しい。
―――それは独占欲。
ルリを振り向かせたいという気持ち。
特定の女性に対して、そういう気持ちになったのは初めてだった。
いつもその時その場限りだった。
来る者は拒まず、去るものは追わずのフランが、たった一人の女にこんなに執着するとは。
―――必ず、私を好きにさせてみせる―――
フランは心の中で呟いた。