フルート吹きの魔法使い

「・・・なんだルリ。お前さんまさか気付いてなかったのかい?」

モールは呆れてるりの顔を見る。

「い、いや、だってガリエルそんな素振り全く見せなかったし・・・てっきり毎週来るのも、私が魔法で出す食料が目当てで来てるのかと思って・・・」

その言葉にガリエルは、上げていた顔をがっくりと地面に落とした。

「・・・無駄な争いだったね、お前さん達。・・・お疲れさん」

ふふん、とモールは残念そうな顔で二人を見つめた後、るりを連れて家へと戻っていった。



残された二人の惨めさと言ったら。
二人はあまりのショックに小一時間動く事が出来なかったのである。
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