フルート吹きの魔法使い


それから2ヶ月ほど経ち、モールとるりは普段の平和な生活に戻っていた。

常備薬を取りに来る騎士も、フランではなく別な騎士が担当になり、ガリエルもあの日以来来ていない。
ほっとする反面、話し相手がモールだけになり少し寂しさを覚えた。

だが、それぞれの気持ちを知った以上、前みたいに話すことも出来ないだろうと思い、敢えて気にしないことにした。


この2ヶ月の間にるりの魔法に意外な発見があった。

それは自分で作曲した曲でも魔法が使える、と言うこと。
しかも、イメージした曲通りに物体化されて出てくるのである。

例えば、炎をイメージした曲を作り、それを吹くと炎が現れる、というものだ。


「これはすごい!もっと色々作って見せとくれ。・・・お前さんは物凄い魔法使いになれるかもしれんぞ?」

「庶民的な魔法使いから格上げ出来ましたね!これからも曲作り、がんばります!!」


新しい発見があったことで、るりも前の事を忘れて更なる魔法の検証に没頭していた。
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