フルート吹きの魔法使い

いかんいかん、見とれてしまっては。
こいつのせいで私はモールさんと離れなければいけなくなったんだから。

「私は会いたくなかったわよ。あんたのせいでこんな事になってるんだから」

「ははは、今更何言っても無駄。・・・さあ行こうか。まずは国王に挨拶しないとね」

るりはフランの背中を睨む。
睨んだ所でどうにもならないのは知っているけれど。


王の間と呼ばれる所に着き、フランは国王にるりを紹介する。

髭を蓄え、がっちりとした身体付き。
隣りに座る王妃はスレンダーな美女で、淡いピンクのドレスが似合っている。

美女と野獣?美女と大きな熊さんって言ったところか。
それがるりの第一印象だ。


「お主がルリか。フランの話だと、モール殿の弟子で優秀な魔法使いと聞いておる。ぜひこの国を守る魔法使いとしてこれから頑張って欲しい。よろしく頼む」

「可愛い魔法使いさんね。今度お茶でもしましょうね」


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