わんこと私。
「……」
「あっ、ごめん……!」
「いや……」
「……? どうしたの?」
すると、馬場くんが立ち上がりこちらを見る。
窓を隔てて向かい合う形になり、少し恥ずかしくなった。
「また食わせろよ、じゃあな」
馬場くんはそれだけ言い残して、銀の髪を風になびかせて行ってしまった。
「馬場くん、意外と悪い人じゃないかも……?」
ぼんやりと馬場くんの後ろ姿を眺めながら、私はそんなことを考えていた。