ヤンキー?なにそれ、美味しいの?

男の子の手が頬に触れそうになったとき、


「…いっってえ!なんだよてめえ!!」


突然でてきた人影に、その手捻りあげられた男の子は悲鳴をあげた。


「…てめえらこそ、なんだよ」


そう呟いたのは、紛れもなく安達くん。

どこから現れたのか分からないけど、その肩は縦に揺れていて、呼吸が浅いことだけは分かった。

低く呟かれた声はとても小さかったけど、周りの空気は凍ったように冷たくなる。


「…あ、安達…っ。呼ぶ前から来るなんて。やっぱこいつがお前の女だって噂、本当だったんだな」


不思議なことを言う男の子。


「は?」

「とぼけんな!!」


勢いよく殴りかかってきた別の男の子の腕を避けるついでに、もともと捻り上げていた男の腕を引き、壁に叩きつける。

そしてそのまま、殴りかかってきた男のみぞおちに一発入れ、

その様子を呆然と眺めるもう1人に冷たい視線を向けた。


「お前は?」

「いや、俺はっ、別に」

「ふーん?」


言いながら、ごつりと鈍い音が響き、その男の子は地面に倒れた。


「…っち、許さねえ…」


そんなつぶやきを残して3人は足を引きずりながら校舎裏を後にした。
< 117 / 215 >

この作品をシェア

pagetop