ヤンキー?なにそれ、美味しいの?
助けに向かうことなんて出来ない、だけど、立ち去ることも出来なくて、苺花は、公園の木の影にしゃがんで様子を伺う。
「内藤さん、どうしますか?」
「あー…もういいよ、帰ろっか?」
少し後ろから現れた、喧嘩なんて似合わない、爽やかな身なりをした人が、優しい口調でそう呟く。
あまりに、好青年らしい見た目に、苺花は、この人が助けてくれるんじゃないかと安心すら覚えた。
「っす、了解っす」
「お疲れ様でした」
口々にそう言った10人ほどの集団は、次々と公園から出ていき、公園には2人だけが残った。
「内藤」と呼ばれたその男の人は、倒れ込む安達くんの側へ寄る。
きっと、助けてくれる、そんな苺花の甘い期待は簡単に打ち消された。
その人は、飴を舐めながら、安達くんの髪を掴んで、勢いよく頭を上げさせた。
その映像に、苺花はぎゅっと目を瞑る。
「お前も、つまんなくなったね」
優しい、甘い声で、そんな言葉を言い放ち、その人も公園から出ていった。