ヤンキー?なにそれ、美味しいの?
「喧嘩、辞めようと思って。やり返さなかったんだよ、」
苺花は、安達くんの手を取り、見つめる。
身体中、特に顔なんて、傷だらけでボロボロの安達くんだけど、手はとても綺麗で、安達くんが反撃をしていないという事が伝わってきた。
「…なんでっ、こんなになるくらいなら、やっつけちゃえばよかったのに…っ、こんな酷いことする人、守んなくていいのにっ」
そう言って泣き出す苺花の涙を、安達くんの指先がすくう。
「お前見てると、喧嘩すんの嫌になんだよ」
優しい声のトーンに、苺花が顔を上げると、今までで1番優しい表情をした安達くんと目が合った。
「喧嘩するとき、お前の顔が浮かぶ。そしたら、殴れなくなる」
苺花はぱちぱちと瞬きをして、その度に溢れる涙を、安達くんは逃すことなく指先で拭った。
「俺、お前みたいなやつと仲良くできるほど良い生き方してねーの。」
安達くんがポツポツと話し出す言葉を苺花は黙って聞いた。