ヤンキー?なにそれ、美味しいの?

「へえ…、可愛いじゃんお前。
俺らと一緒にあそぼーぜ」


何を見てそう思ったのかは、今も分からないけど、そのとき内藤さんは本当に楽しそうに笑った。

その笑顔が嬉しくて、俺は、先輩とつるむようになった。


内藤さんは、自分が喧嘩をすることはあまりなかった。

たまり場になっている廃墟で、ゲームをしていることがほとんど。

そこに、喧嘩をして戻ってきた仲間たちの話を聞いて笑っていた。


「透は?やってきたんでしょ?」

「あぁー、少しだけ。」

「余裕だったんだ、やっぱ強いね」


可笑しそうに言いながらコントローラーを差し出され、一緒にゲームをする。

そして、仲間がボロボロになってきた時、内藤さんは、笑顔で立ち上がって、

「いこっか」

と笑うんだ。


決して名前をつけた族ではないし、いつも一緒にいる訳ではない。

だけど、そんな結び付きがあるその環境が、俺を自由にさせて、仲間がやられたから、なんて理由が、自分から喧嘩をふっかける要素になって。

そんな毎日が続くうちに、俺は、史上最強のヤンキーだなんて名前が通るようになっていた。
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