ヤンキー?なにそれ、美味しいの?
ざわざわするテント内。
「安達は、出ねーじゃん」
「そ、そうだよそれに、来ても怖いし…」
そう言う、クラスメートたちと、
「苺花ちゃん、やっぱり安達くんと」
「その噂あったよね、でも別れたって聞いたけど」
外からも聞こえる、ひそひそした声。
耳を塞ぎたくなる環境に、苺花は覚悟を決めるように拳を握りしめて、口を開いた。
「なんで出ないって決め付けるの?
安達くんはクラスメートだよ、
安達くんが来ないんじゃないよ、
皆が安達くんを追い出してるんだよ…」
責めるような言葉になってしまい、クラスメートは静まり返る。
「そ、そんなこと今言ったって仕方ないじゃん」
「苺花、呼んできて。走順組み直すよ」
苺花を責めるようなクラスメートの言葉をかき消すように、いおちゃんがその場を取り仕切る。
「い、伊織ちゃん…?」
「ほら、なにしてんの、もう時間ないんだからみんなで考えるよ」
クラスメートに声をかけながら、早く行ってと言ういおちゃんの視線に苺花は頷いて、テントを後にした。