ヤンキー?なにそれ、美味しいの?
「リレーに欠員が出たの、安達くんが必要なの!!」
明らかな説明不足の中、安達くんは、首を振る。
「関係ねーし、てかもう関わんなっつったろ」
ゆっくり体勢を起こすと、苺花は安達くんの膝に座る形になった。
あまりにも近くの彼女に、安達くんは、少しばかり目を泳がせ、視線を外す。
「苺花じゃないの!苺花とはもう関わらなくたっていい、だけど、安達くんはもっと、皆と仲良くなってほしいの、皆に安達くんの優しさを知って欲しいの!!」
そんな気まずさ、微塵も感じていないと言った様子の苺花に、空気をぶち壊される。
強い語気で、何度も安達くんの胸を叩く苺花は、悔しそうで、
本気で、安達くんをクラスに受け入れてもらいたいと願っているようで。
涙ぐんで、いよいよ雫を零しそうな苺花に、安達くんははぁと、ため息をついた。
「そんなことで泣くなよ。」
そう言って、優しく苺花の涙を親指で拭き取る。
「どうなっても知らねーからな、これが最後だから、これ以降はもう諦めろよ」
どうせ無理なのは知っている、だけど、苺花がそんなに思ってくれるのなら。
その気持ちが、安達くんの重たい腰を上げたのでした。