ヤンキー?なにそれ、美味しいの?
「安達くん、行かないで」
行かせたらダメな気がするの。
せっかく、少しだけど、安達くんがクラスに馴染めた気がしたのに。
「普通になれない」
そう言った安達くんの悲しそうな顔が、頭をよぎる。
苺花の声に、一度背を向けた内藤先輩は再び振り返った。
「あれ、この子」
面白い玩具を見つけたように、嬉しそうな表情をする内藤先輩。
本当に爽やかで、好きになってしまいそうな笑顔なのに、不思議と苺花は背筋が凍るように冷たくなるのを感じた。
「透の彼女?」
そう言われた直後、安達くんは腕を振り払い、苺花を後ろに突き飛ばす。
丁度いおちゃんのいる方に倒れ込んだ苺花は、綺麗にいおちゃんの腕に収まった。
「大丈夫?」
いおちゃんの小さな声に頷く。
「ちげーよ。行こう」
その場を早く切り上げようと足を進める安達くんに、助けてくれたのだと察する苺花。