ヤンキー?なにそれ、美味しいの?
「ちょっと、借りてもいいか?」
安達くんが声をかけたのはいおちゃんだった。
いおちゃんは、急に現れた安達くんに驚きながらも冷静に振り返り、優しく笑う。
「もちろん。
安達、ごめんね。」
「いや。さんきゅ」
ふたりの簡潔な会話を、苺花は理解できなくて頭にクエスチョンマークを浮かべる。
っていうかいおちゃんの優しい微笑みに赤面しない人、初めて見たんだけど。
ほら、歩き組の男の子たちみんなときめいちゃってるのに。
「あ、待ってでもいおちゃん帰りひとりは危ないよ、一緒に帰ろうよ?」
苺花が口を挟むと、いおちゃんは首を振った。
「大丈夫よ、でも安達はちゃんと苺花送りなさいね。じゃあね、また明日」
そう告げると、かっこよく背を向けて帰っていくいおちゃん。
「えっ、待って…」
呼び止めようとしたけど、一人で歩き始めて10秒立たないうちに、送っていくと申し出る男子は3人、その様子を見て一緒に帰ると申し出た女の子3人。
「心配なさそう、だね…」
いおちゃんの人気っぷりに慣れてる苺花は、納得したように頷くけど、安達くんはその様子をかなり引いた目で見ていた。