ヤンキー?なにそれ、美味しいの?

「安達〜てめえ遅刻してんじゃねえ〜!」


教室の窓から、すっかり怪我の治った神原くんが叫ぶ。

いおちゃんと共に窓の外を確認すると、気だるそうに校舎に向かって歩く金髪の彼。

玄関に向かうことなく、真下へ来た彼は、神原くんやクラスメートに向かって毒づく。


「やっぱ授業はだりぃわ。」

「いいからさっさと上がってこい」


クラスメートの言葉に、面白そうに笑った安達くんは、ちらりと目線を動かし、苺花を見つけた。


「苺花、おはよ」


その優しい声質に、苺花は一気に体温が上がる。


「おはよ、透くん」


ぽやぽやした雰囲気に、クラスメートの男子は悔しそうな顔をして、

女の子たちは、「きゃあ」と控えめな歓声を上げた。


「安達、さっさと来ないと、苺花が寂しがるわよ」


いおちゃんが言うと、安達くんは小さく笑う。


「はいはい、行きますよ」


そのやり取りにも、何故か男の子は悔しそうな顔をして、安達くんを睨んだ。


「てめえらは顔がうるせーよ」

「はぁああ、だってお前、ずるいだろ?」

「そうだよ、桜井さんも早柿さんも俺らのアイドルなんだよ!!!」


騒ぎ出す男子たちに、苺花といおちゃんは、苦笑いをして。


だけど、楽しそうに笑う透くんを見て、苺花は幸せそうに笑いました。


天然姫は、見事、オオカミさんを村へと招き入れたのです。

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