ヤンキー?なにそれ、美味しいの?
そういえば、と、部屋に戻る途中に思ったことを聞いてみる。
「いおちゃん、安達くんと何か約束してたの?」
「ううん、苺花は気にしなくていーの」
約束してたみたいに、玄関で会えたから、不思議だったんだけど。
でも、いおちゃんにそんな綺麗に微笑まれたら何も言えないよ…。
「よし!ご飯より先にお風呂入っちゃお!」
苺花の背中を押すようにして宿に向かういおちゃんに、苺花も笑みをこぼす。
「安達くん、悪い人じゃなさそうだけど、噂は怖いもんね」
そんな言葉は、もう夕ご飯の事を考える苺花には聞こえるはずもなく、
いおちゃんが、苺花が安達くんを気に入っていることが周りに知られないように、
必死に裏で動いてくれていることを、苺花は全く知りませんでした。