ヤンキー?なにそれ、美味しいの?
いつもの屋上じゃないからか、時間帯のせいなのか、
それとも、
さっきの女の子の会話が頭に残っているからか、
安達くんがいつもよりももっともっと格好よく見えてしまって、
頭に乗る手が、凄く優しい手に感じてしまって、
苺花は軽くうつむいた。
「外にも自販機あったと思うけど、見に行く?」
いつも通りの安達くんは、苺花に問いかけた。
「えっ、あ、うーん、でも、外出ちゃいけないって…」
「あーー、そうだよな、お前は。」
小さく笑ってそう言った安達くんは、苺花から手を放してしまって。
そのまま、玄関の方へ歩いて行ってしまった。
「安達くん、どこ行くの?」
自販機コーナーから出て行った安達くんを、追いかけて、声をかけると、既に玄関を出ていた、安達くんは振り返る。
「散歩。寝れねーし」
浅く被ったフードから少し見える鮮やかな金髪。
その髪は、外の空気でわずかに揺れていて、
ちょっと挑戦的な目は、苺花をドキドキさせるには十分で、
「・・・苺花も行く。」
安達くんに追いつきたくて、
遠い存在に感じたくなくて、
「お前は、そーだよな」
なんて、自分と違う世界にいるみたいなこと、言ってほしくなくて。
苺花は、ホテルの玄関から、足を踏み出しました。