ヤンキー?なにそれ、美味しいの?
「ひゃっ!!」
そんな、猫みたいな短い悲鳴をあげて、抱えあげられる。
苺花は米俵か何かですか??
そう突っ込みたいくらいの、雑な持ち上げ方で軽々と片手で苺花を抱き、走る。
「お、おい!ちょっと、!」
遠くから先生の声がしたけど、
すぐにそんな声は聞こえなくなった。
「安達くん、安達くんってば!」
「なんだよ、うるせえな」
「もう先生来てないから下ろして!」
苺花の声が届いて、安達くんは後ろを振り返り、小さくため息をついて苺花を下ろした。
「もうっ、もっとお姫様みたいに運んでほしかった!」
運ばれながら、内心思っていたことを垂れると、安達くんは怪訝そうな顔で苺花を見る。
「本当呑気。そもそもなんでお前出てきたんだよ、隠れてれば良かっただろ。」
そう言われて、苺花はさっきのことを思い出す。
「だって、あのままじゃ安達くん悪者だったじゃん。苺花そんなのやだもん」
安達くんは、深くため息をこぼし、そっぽを向いた。
苺花が、不思議に思って声をかけようと思った瞬間、小さなつぶやきが聞こえる。
「関係ねーだろ」
冷たい冷たい安達くんの言葉は、
今日はとても、温かみが溢れてて。
きっと、これも、照れ隠し。
「ふふ、そうだねっ!」
明るく言い返せば、安達くんは少しだけ口角をあげて笑った。